さて、ここでは現代版シンデレラ、映画『エバーアフター』(1998年・アメリカ映画)を花椿の感想を交えつつ,

ご紹介。ご紹介舞台の参考になればと思って書きました。

シンデレラは新しい版になればなるほど、自立した、たくましい女性として描かれるようになります。

本当にたくましいですよ。このシンデレラ。そのくせドリューバリモア演じるシンデレラはとってもキュートです。

本物のお城をつかった撮影や,できるだけ時代考証を考えた衣装はさすが映画です。

 

フランスの年老いた王妃が物語作家のグリム兄弟を城へ招きます。

なぜ自分達が呼ばれたのか分からない兄弟がその理由を王妃に尋ねると彼女は「本当の灰かぶり」について話しましょう、といって宝石箱からガラス

の靴を取り出し,2人に話し始めました。「私の曾曾祖母の話で・・・」

『グリム兄弟』ということはドイツからおよびになったのかしら。フランスのペローはグリム兄弟よりも100年程前の方です。

さて、ガラスの靴を見て驚いたのはグリム兄弟。物語を編集した彼らはその話は『おとぎ話』(つくりばなし)と思っていたのですから。

 

このお話での『灰かぶり(シンデレラ)』の名前はダニエル(ドリューバリモア)。やさしい父オーギュストと一緒に田舎で暮らしていましたが,ある日父は

男爵未亡人と再婚します。ところが父親は再婚してすぐ病気で他界してしまいます。

「男爵」の爵位をもち、気位だけは高い継母と2人の義理の姉,マルガリート、ジャクリーヌ、そしてかわいそうなダニエルが残されました。

優しい父を失ったダニエルは,継母に召使扱いされて成長することになります。ここまでは割とお約束ですね。

この映画ではこの継母がちゃんとダニエルの父親を愛していたということが描かれています。

愛していたから田舎にまで嫁ぐことを決意し,これから生活・・・というときになくなられてしまったと。ある意味、彼女も可愛そうですね。

成長して父親に似てきたダニエルをみて涙ぐむシーンもあります。悲しさからなのか、すぐに逝かれてしまった悔しさなのかはわかりませんが。

他のシンデレラストーリーには無かったことです。

すぐに実家にでも戻ってくれれば良かったのですが,ちょっと遺産が結構あったので?残ることにしたようです。そんなこんなで10年が過ぎました。

 

さて、主役のこのダニエル、現代女性をかなり意識して描かれているようでまぁ、強い強い。

王子様と一緒にいるとき、ジプシーにからまれて『担げるものをひとつだけもってここを去れ』といわれるとなんと王子様を抱えて歩きだしちゃう!力持ち!

そこいくと王子様は『政略結婚はイヤだ』といって逃げまくり,王位継承すらイヤイヤですごしている悩める王子様。国政にもさっぱり興味なし。

もっとしっかりおし!びし!(殴る音)といいたくなります。おまけにすぐに怒るし、すねるし、いじけるし・・・。

王子のくせしてお子様です。(ナレーションでもまだまだ子供とかいわれてしまって、かわいそうだったります)

ですが、ある日偶然出会ったお元気娘ダニエルにそんな態度をたしなめられます。その後も偶然何度か出会い、そのたびに王子様に説教・・・そんな彼女

が新鮮に見えたのか彼は彼女に惹かれていき,彼女に影響されて国政にも興味を持っていきます。舞踏会の前にすでに2人は出会い、愛をはぐくんでいた

いうわけです。そしてついに舞踏会で婚約者として彼女を紹介したいと言い出しました。

ダニエルは王子の前では貴族を装っていましたが、家に戻れば使用人扱い。義母は男爵とはいえ、彼女自身は身分のない身。

そしてそれをどうしても王子に打ち明けられずにいました。

 

そんなダニエルの動向をあの継母が見逃すわけは有りません。長女のマルガリートをなんとかして王家へ嫁がせたいと思っていたのですから。

そして王子に「王子が夢中の娘はベルギー人と結婚し、まもなくここを発つ」と偽の情報を流したのです。あげくに舞踏会の日にダニエルを閉じ込めてしま

います。

ここで彼女の脱出を助けるのはかの有名なレオナルド・ダ・ヴィンチ。フランスに招かれて王子と行動をともにしていた彼はダニエルをとても気に入ってお

りました。なんとか2人をいっしょにしてあげようと彼女を助け出して,持ち前の「芸術的な腕前」彼女を飾り立てました。(ドレスとガラスの靴はダニエルの

母親の形見としてあらかじめ存在しています。)

ところで、この作品での『魔法使い』の役割を果たしているのは、なんとダヴィンチだということになります。贅沢な演出ですね。

ペローの物語に出てくるような童話的『魔法使い』はでてきません。

無事に抜け出して王子に出会えた彼女は結婚するのは「うそ」だと伝えそして・・・自分の身分のことを言おうとしたまさにその瞬間、義母がしゃしゃりで

て彼女の素性をひどい言い方でばらしてしまいます。

もともと貴族のふりをしたのも子供のころからそばにいた使用人をたすけるためだったのでこのシーンはとてもかわいそうでした。

彼女の嘘にショックを受ける王子。言い訳もきかず、裏切られたと思った王子はやっと舞踏会にやってきた彼女に冷たい言葉をあびせて追い返してしまいます。

この騒動のおかげで『シンデレラ』名物の舞踏会でのダンスシーンはまったくなし。せっかくいいシーンだというのにもったいないですね。

挙句の果てに、その後すぐ継母はダニエルを家財道具と引き換えに売ってしまうのです。

 

さて、勝手に裏切られたとへこんでいる王子様は懸命に取り持とうとするダヴィンチの意見にも耳を貸さず、やけになってその後スペインの王女との政略

結婚することにします。ところがなんとスペインの王女さまは『ほかに好きな人がいるので結婚できない!』と婚礼の祭典の場でおお泣き。

それをみた王子はやっと『好きな人と結婚する!』という自分が本当に望んでいたことを思い出し,ダニエルを探しに飛び出しました。

おっそい。王子様。ダニエルは売られちゃっているのですね。その事実に驚きすぐに彼女をすくいに向かう王子。ドンくさいですが,やっと王子様らしくなって

きました。最初の頃のイヤイヤぼうずではありません。この映画は王子様の成長映画でもあったりします。

 

しかしながらこの物語のシンデレラ、ダニエルは売られちゃっても強いんです。せまりくる『買い主』に大しても毅然としていてしまいには『父親が教えてくれた』

剣のさばきでみごと自力で脱出。王子様が来た時には自分でずかずか道を歩いてました。いやあ、気分爽快☆

せっかく助けに来た王子様ですが,見せ場なし〜。(結局カッコいいところをみせられず・笑)彼女に謝ってお城に来てもらうのでした。めでたしめでたし?

いえいえ、まだ義母と義姉への「おしおき」がのこってます。義理とはいえ自分の娘を売ってしまったわけですし,いままでにもうそをついて勝手に家財道具を

売っていましたから。その罪からは逃げられません。いじめぬいた『はいかぶり娘』はいまや王妃なのですから。

「このおしおき」パターンも近年のシンデレラ映画に顕著です。

なにかとダニエルを気遣ってきた2番目の姉ジャクリーヌをのこして義母と義姉は以前ダニエルが扱われていたと同じ立場の身分へと落とされてしまいました。

まぁ、もとの物語でも継母と姉達にかなり惨酷な終わり方をしている話もありますからまだいいほうなのですが。

王子成長記というか不思議な作品です。とはいえ、このシンデレラは爽快です。やっぱりオススメの映画なのです。

機会があったら現代版の解釈の『シンデレラ』をお楽しみあれ。

 

☆おまけ☆この作品をみるとトマス・モア(1500年代のイギリス思想家)の『ユートピア』(イギリス文学の古典・だけど全然古くないです。)を読みたくなります。

勉強になっちゃいますよ。と、いうかイギリス文学に興味のある方はシェークスピアに挑む前によみましょう。シェークスピアより読みやすく,かつ、読めば

その後のイギリス文学を理解しやすくなります。

 

☆ご参考ページ・その他のシンデレラ物語☆

☆『シンデレラストーリー』☆

☆『コマ劇版・シンデレラ』☆

☆テレビ/映画『ロジャース・ハマースタイン版シンデレラ3作』☆

☆オペラ「シンデレラ・チェネレントラ」☆

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